三菱総合研究所 自動運転に関する技術開発動向と意見交換会

掲載日:2016年12月1日
場 所:株式会社三菱総合研究所
報告者:鈴木健一
AJAJジャーナリスト様向けカンファレンス
「自動運転に関する技術開発動向と課題」
2016年12月1日の夕方から株式会社三菱総合研究所による「AJAJジャーナリスト様向けカンファレンス-自動運転に関する技術開発動向と課題」が開催されました。三菱総合研究所は700名を越える研究員を擁するシンクタンクです。その次世代インフラ事業本部スマートインフラグループによるメディア向けカンファレンスを、特にAJAJ会員向けに限定して実施していただけたもの。話題の自動運転関連の最新情報を、シンクタンクの専門家から直接レクチャーを受けられるという貴重な機会となりました。

レクチャー役は、イベントの企画を発案していただけたスマートインフラグループグループリーダー主席研究員の杉浦孝明さんです。まずは、自動運転技術の現状と課題が説明されました。特に今年(2016年)は、ACC(アダプティブクルーズ)機能を拡張させた自動運転機能を備えた日産セレナが発売されました。市井の人々も購入できる価格帯のクルマに自動運転機能が搭載されたエポックメイキングな年ということで、「2016年は自動運転元年になるだろう」という説明にはなるほどと納得するばかりです。

また注意すべき点として指摘されたのが、自動運転のレベル2と3との間にある大きなギャップです。ドライバーが責任を担うレベル2と、システムに責任を任せるレベル3の違いは大きく、技術的にも法制度的にも、それほど簡単にステップアップできないのではと。ここは自動運転に関する記事を書く、私たちも注意すべきところでしょう。

そしてアメリカにおける自動運転の開発状況が説明されました。

続いては三菱総合研究所が実施した「ACCなどの利用者意識実態調査」の説明です。今年の10月に、全国の20~70代のドライバーの男女約1000名に行ったアンケート調査です。結果として非常に興味を引かれたのは、「自動運転と聞いて、どのようなシステムをイメージしますか?」という質問の答えです。最も多かった回答が「高速道路上で、先行車との車間距離を一定に保って自動追従走行。ステアリング操作はドライバーが行う」というもので25%。現状のACC機能を正しく理解している人が一番多かったのです。逆に、現在では不可能な完全自動運転である「ナビに目的地を設定すれば、ゴールまで自動で移動する」と答えた人は20.9%。意外と少ないなというのが率直なところ。また、前述した25%とあわせて、「高速道路上限定」で、高性能モデルなどで実用化されている運転支援システムの範囲内までの答えを選んだ人は46.6%も。想像以上に、ちゃんと自動運転の現状を理解している人が多いという結果でした。ただし、調査の内容をよく見てみれば、勘違いや理解不足もそれなりにあることも分かりました。これも記事を書く上で参考になる調査です。

そして最後に三菱総合研究所から、日本が今後の自動運転技術の開発を世界でリードするための4つの提言がありました。それは「車両挙動の整合化、基準の策定」「HMIに関する研究開発、HMIの統一化」「ドライバーモニタリング/リスク最小化のための車両制御」「データ集約による集合知の形成」というもの。レベル3を目指す自動運転技術開発に必要不可欠なものばかりでしょう。

約40分にわたったレクチャーの後は、AJAJ会員からの質疑に答える時間に。「コストの問題」「高齢者の問題」「新しいビジネスの形」などの質問が数多く投げかけられ、予定の時間はあっと言う間にオーバーしてしまうほど。その後は会場を移して懇親会へ。三菱総合研究所のスマートインフラグループの方々とAJAJ会員が忌憚なく意見を言いあう場となりました。

注目を集める自動運転の現状や課題、未来を学ぶことのできた、非常に有意義な1日となりました。

■参加者(敬称略、五十音順)

会田肇、石川真禧照、加瀬幸長、日下部保雄、菰田潔、鈴木健一、高山正寛、滝 口博雄、近田茂、牧野茂雄、森川修

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