自動車アセスメント衝突試験公開

開催日:2011年1月20日
場 所:(財)日本自動車研究所(JARI)衝突実験場
試験公開風景
百名近くの報道陣と試験車両のメーカー・エンジニアの前で試験が公開された

平成23年1月20日木曜日、(独)自動車事故対策機構(NASVA)の開催する平成22年度自動車アセスメント衝突試験公開にAJAJのメンバー15名が参加してきました。この日の公開は新聞や雑誌媒体向けのものでしたが、NASVAさんのご厚意により、今回は特別にAJAJ枠を用意していただくことができました。

会場は茨城県つくば市にある(財)日本自動車研究所(JARI)の衝突実験場。かつてはオーバルのテストコースがあった場所であり、「久しぶりに来たよ、懐かしいね」と笑顔を見せる会員もちらほら。和やかな雰囲気で見学は始まりました。

この日、公開された試験は3つ。オフセット前面衝突試験(車両は三菱RVR)、側面衝突試験(VWポロ)、歩行者脚部保護性能評価のための調査試験(日産セレナ)というものです。午前中にオフセット前面衝突試験を見学し、昼食後の午後に残りのふたつの試験が公開されるというスケジュールでした。

午前に行われたオフセット前面衝突試験の実験場は天井の高い広々とした空間です。見学者の正面にクルマと衝突する銀色のアルミハニカムが置かれ、煌々とライトが照らされます。これは衝突の瞬間を撮影するための用意であり、その光の真ん中に私たち見学者のカメラも意識が集中します。

「5、4、3~」というカウントダウンの後、場内にはシャーという音が響きわたりました。これはダミー人形を乗せた実験車両を時速64kmまでに牽引する床下のチェーンの音。そして、数秒の後、集中する照明の中心で「ターン!」という音と共に実験車がアルミハニカムに衝突します。この音と飛び散る破損片の迫力! そして衝突で生じる衝撃の大きさの実感。これこそが現場に赴く大切さだと、改めて認識できました。

衝突試験風景

しかし、この日に参加したAJAJメンバーに聞けば、「衝突試験見学の経験はすでにある」という人が多数いることが判明。そのためメンバーの間には「最後の試験は新しい試みだから注目だ」という考えの方が多かったようです。

その注目の試みとは「歩行者脚部保護性能評価のための調査試験」。歩行者と自動車が衝突したとき、自動車のバンパーが歩行者の足にどれだけの傷害を与えるのかを計測するものです。試験には人間の脚部を模した「Flex脚部インパクタ」を使用します。これは日本で開発されたもので、太ももから膝~足首手前のすねまでを再現。このFlex脚部インパクタを固定された車両のバンパー前部に放射して、その傷害値を計測します。放射する速度は時速40km(導入後は時速44kmを検討中)。バンパー前部を6分割して、それぞれに放射。累計で6回の試験を行って総合評価を導き出します。今年はプレ試験という位置づけのため、どのような評価方法や表示になるのかを検討し、平成23年度、つまり次年度から新規に採用される予定です。公開された試験の感想をいえば、一瞬で終わり、さらに前面や側面の衝突試験のような派手な破損もないこともあり、「あっけないな」というもの。とはいえ、こうした新しい試みの積み重ねが、安全技術の向上へと続く道なのでしょう。

公開試験の後、NASVA側から、今後の自動車アセスメントの行方が説明されました。実のところNASVAと自動車アセスメントは昨年春の事業仕分けの対象となっていたのです。仕分けの結果は、「民間への移行も見据え、他法人での実施でコストを削減する」。自動車アセスメントは残りますが、実施団体は要検討ということになりました。説明するNASVA関係者からは声にならない無念さが伝わってきたことが印象的でした。

■参加者(敬称略、五十音順)
会田肇、飯田裕子、石川真禧照、一条 孝、岡島裕二、日下部保雄、斎藤慎輔、鈴木健一、鈴木直也、滝口博雄、藤島知子、堀越保、松下 宏、丸茂亜希子、山崎元裕