マツダ勉強会 中国自動車市場の動向特徴とマツダの中国事業

開催日:2012年9月14日
場 所:神奈川県横浜市マツダR&Dセンター
講師:山田憲昭氏(マツダ株式会社 常務執行役員/マツダ(中国)企業管理有限公司CEO)

領土問題が絡んで中国との関係が微妙になっている昨今、企業人として、政治的なお話はできないとしても、その相手を知るという意味でまさにタイムリーな講演会となりました。お話を頂いた山田憲昭氏は、マツダ(株)で海外販売の当事者として2004年より携わり、とくに中国では「一汽マツダ汽車販売有限公司」の社長の地位に就いた経験もお持ちです。現在も常務執行役員として中国事業を担当され、その経験は足かけ8年にもわたります。まさに中国市場を知り抜いた経験の下、貴重なお話を頂いたというわけです。

山田憲昭氏
山田憲昭氏(マツダ株式会社 常務執行役員/マツダ(中国)企業管理有限公司CEO)

山田憲昭氏 講演風景講演は「中国市場の動向」からスタートしました。GDPで日本を抜いて世界第二位となった中国は08?09年頃より急激に市場が拡大し、10年に優遇策の打ち切りで鈍化してはいるものの、今もなおプラスで推移していることに変わりはありません。なかでも注目すべきは都市部の可処分所得が06年から5年間で約二倍にまで急上昇していること。所得増加と自動車価格の下落とも相まって購買力が急激に伸びたのです。

中国市場ではCセグメントとSUVの伸びが顕著で、ブラジルやインドでは60%がエントリーカーであるのとはかなり状況が異なっています。一方で、排気量に関しては、1.6リッター以下の小排気量車が全体の6割強を占め、これは見栄えを重視する傾向があると同時にガソリン価格の高騰も大きな要因になっているようです。また、需要は着実に沿海部から内陸部へと広がっており、それが急激な需要拡大につながっているのは間違いないとのことでした。

勉強会風景国別では圧倒的なシェアを獲得している海外勢の中にあって、中国ブランドも根強いということも報告されました。全体のパイが増えている中で3割をずっと維持しているのは着実に台数を伸ばしていることになります。逆に欧州勢はシェアだけで見れば03年より半分近くにまで落ちており、現在も巻き返しに懸命です。日本勢は年々微減という状況にありましたが、今年発生した暴動でその影響は深刻化していますが、この時点(9月)では不明という答えでした。

二つめは「中国乗用車市場の特徴」です。中国では初回購入が需要の中心で、そのユーザーを対象に日・米・欧・韓・現地ブランドが競合している激戦市場です。ただ、この中では早期に参入したメーカーが優位に展開する傾向にあると言います。それを裏付けるのがVWで、1985年に参入を果たし、現在のシェアは14%とトップ。欧州勢が苦戦している中で際立つ活躍を見せています。とはいえ、裏返せばそれでも全体から見れば「14%」しかなく、それだけ激戦市場であることは確かであるとも。中国の自動車普及率は現時点でも日本の1/8しかなく、伸びしろはこれからも十分期待できる市場であるとのことです。

購入者は驚いたことに大半が現金での購入だということです。これは金融引き締めによってローンを避ける傾向が強いから。購入層の中心は、80年代の一人っ子政策で生まれた世代で、結婚することで両方の親から現金が与えられて購入する例が多いそうです。また、口コミによって広まった安心感が購入動機につながることが多く、決して不用意に新型には手を出さない。マツダでも旧型アテンザが未だに売れ続けていることも、それが表れているとのことでした。

三つめ「マツダの中国事業」について。現在、一汽マツダと長安マツダの二つのブランドで計25万台を販売していますが、15年には40万台を達成する目標を持っているそうです。グローバルで170万台体制のうち、24%を中国で賄いたいとのことでした。量販モデルは現地で生産し、ブランドイメージとなる車両については輸入で賄う体制を作り上げていくとしています。なかでもCX-5に見られるようにSUVの成長ぶりは著しく、CX-7と合わせ、2013年には現地で生産する計画だそうです。

省エネ技術へもマツダは力を入れていくとのことです。新世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-G」やクリーンディーゼル「SKYACTIVE-D」、トランスミッション、ボディ、シャシーなどをベース技術とし、STEP1で「i-stop」、STEP2で「減速エネルギー回生ブレーキ技術」を導入。STEP3では「モーター駆動技術」を組み合わせる。つまり、ベース技術で飛躍的性能向上を実現し、その上で電気デバイスを組み合わせる『ビルディングブロック戦略』がマツダの環境対応の要となるということです。

現在、マツダは中国で販売網の強化に取り組んでおり、その第一要件として顧客との設定を増やす活動に取り込み、そのためにディーラー研修に力を入れていくとのことです。北京/上海/深センに研修センターを設営し、延べ約400日/年にわたるきめ細かな研修を実施。市場ニーズに合った商品の投入や、値引きに頼らない商品力とサービスで顧客を獲得する等、ブランド構築のための努力を行い、結果としてディーラーの収益性を向上する取り組みを行っていく目標を立てているとのことです。

今年発生した暴動は、中国市場での大きな不安要因になっていると思われますが、企業にとってはそれ以上に広がる市場があることがわかっていれば進出するのが当然の道でしょう。マツダだけでなく、中国市場に対する企業としての熱い想いが伝わってくる講演会でした。

■参加者(敬称略、五十音順)
会田肇、有元正存、有山勝利、家村浩明、石川真禧照、石川芳雄、今井優杏、太田哲也、加瀬幸長、川上完、木下隆之、日下部保雄、工藤貴宏、国沢光宏、斉藤慎輔、鈴木健一、鈴木直也、高山正寛、滝口博雄、近田茂、津々見友彦、伏木悦郎、牧野茂雄、松下宏、松田秀士、丸茂亜希子、丸山誠、三本和彦、諸星陽一、山崎公義、米村太刀夫、山口京一、吉田由美