東日本大震災活動 斉藤慎輔レポート

○被災地の状況

津波の被害を受けた海岸沿いの地域には、被害家屋、建物がほとんど取り壊され平地のように変わってきている地区も見受けるようになりました。しかし、住人が戻り街が復興するにはほど遠い状況であるのは変わりません。そうした中にも、復旧への動きが早いところと、いまだ時が止まっているかのように見える地域や地区など、明暗が分かれているのも、これまでの印象と変わりません。

仮設住宅建設の遅れがよく伝えられてますが、実は一部地域では出来上がった仮設住宅に未入居(空き)がでてきているところもあります。これは、不便なところにありその上狭い仮設住宅よりも、便利な地にあり間取りも広い借り上げ住宅を希望する被災者が多くなってきているためと聞きます。

当初の、「とにかく住めるところを」という意識から「少しでも便利で快適なところへ」という当然のニーズが強くなってきているためのようです。その一方で、まだ避難所生活を強いられている人達も残されています。これも地域により差が開いてきています。

○いま求められていること、もの。

新しいニーズとして生まれてきているのが、仮設住宅に移った人達の移動手段の手助けです。仮設住宅の中には高台に建っていたり、買い物ができる場所まで遠かったりなど、不便な地にあるものも少なくありません。そうした中で、クルマを持たない人、とくに高齢者は、ちょっとした所用や買い物などでも不便やたいへんな思いを強いられていると聞きました。こうした支援であれば、我々にも比較的容易に出来るものと考えます。

災害ボランティアセンターなどを通しての、ガレキの片付けや泥だし作業などは、地域によってはニーズにほぼ対応し終わったところもでてきています。その他の作業も一段落してきている状況です。こうしたことから、ボランティアセンターも活動定休日を設けたり、ボランティアも県外からの人は受け付けなかったり、事前受付制になっているところも増えてきているので、活動に参加する際にはチェックが必要です。いずれにしても日々状況は変化しているので、我々が行った時とはまた変わってきているものと思われます。

○道路状況について

メーター高速道路、有料道路の修復はかなり進みましたが、相変わらず段差等は残されています。一般道ではまだまだ路肩が崩れたままであったり、飛び出たマンホールなどが残っているところもまだまだあります。一方、津波で流された道や橋などは、復旧や仮設橋の建設が進んで、迂回せずに通行可能になってきているところも増えました。

被災者の東北地方高速道路無料措置に伴い、週末、平日にかかわらず料金所で証明書確認のための出口渋滞が発生し、本線にまで大渋滞を招いているところもあります。

ただ、当初に比べて、料金所直近ではETCレーンに進むクルマのコースを空けるようになってきているので、ETC車両は比較的スムーズに進むことができるようになりました。いずれにしても無料措置車両及び一般車両(ETCでない)がスムーズに料金所を通行できるような方法を考えてほしいところです。

○六魂祭を見て

「東北六魂祭」は、7月16日(土)、17日(日)の二日間に渡り仙台市内において、青森ねぶた祭、秋田竿燈まつり、盛岡さんさ踊り、山形花笠まつり、仙台七夕まつり、福島わらじまつりという東北を代表する祭りを一同に介して披露、実演するものです。ここには全国的な行き過ぎた自粛ムードに対して、被災地の本当の思いを見せたいという意図も含まれていました。

それでも、このイベントは控えめに行われた感があります。予想していた来場人数は二日間で延べ10万人。これに対して実際には36万6300人が訪れるという賑わいぶりでした。

16日の15時過ぎに国分町の駐車場からメイン会場となった勾当台公園に歩いて向かった我々も、僅か200mほどの距離でありながら、そこにたどり着くまでも、あまりの観客の多さに迂回するなどしてもなかなか身動きがとれず大変な思いをしました。自粛でこうした華やかなイベントがことごとく控えられていた中で、いかに被災地の人々が楽しめるイベントを望んでいたかを身に染みて感じることにもなりました。

もっとも、主催者も予想できなかったほどの人出に、初日となるこの日は、熱中症で倒れる観客が多くでたり、押し合う観客の安全確保ができないという理由などから、定禅寺通りで行われていた各祭りの実演パレードのいくつかが途中で中止になるなどの問題も起きました(翌日は警備体制が見直されて予定通り開催されました)が、震災後に延べ50日以上被災地を訪れていた者として、現地の多くの人々の思いとはかけ離れた自粛ムードに違和感を覚えていただけに、こうしたイベントがそうした間違った意識を変えていってくれれればと願わずにいられませんでした。これは竹岡さんも同じ思いのようでした。