ボーズ・オートモーティブ新テクノロジー勉強会

開催日:2018年3月23日(金)
場所:BOSE新オフィス

音楽の再生は、生〝ライブ〟という基準があるので、それを忠実に再生できるかが肝なのだと思ってました。

ところが、話を聞くにつれ糸は絡み合ってとても難しそうなのです。

大雑把に言ってしまうと、国民性によって音場の〝好み〟はそれぞれ違ってくるのだとか。

例えば日本人は、前方定位が、米国人はサラウンドが好みだとのこと。

このように好みの系統が違うと空間音響創りは難しいのかと思いきや、意外に現在のデジタル技術があれば簡単だということでした。

それよりも、車が向かう自動運転でBOSEの音声認識技術をどのように融合させていくのか?

そんな半未知の環境に向けてBOSEがCES2018に於いてボイス・テクノロジーを紹介していて、大いに関心が湧いてきました。

そこで重要なのは

  1. ① 自動運転化により、運転者の五感が低減されること。
  2. ② 一方、音に対する重要性の高まり。
  3. ③ 識別効果による安全確保の重要性。
  4. ④ ボイスコマンドの重要性。

その中で気になったのが、BOSEの〝Clear Voice Technology〟と〝Aware Signal Steering Technology〟の二つの分野です。

BOSE 資料

今回はデモ車を含めて説明していただきました。

まずは‘Clear Voice Technology’。

すでに多くの方は、携帯型端末『ミュージック』を聞くときに使用するヘッドフォンやイヤフォンに組み込まれている〝ノイズキャンセル機構〟はご存知でしょう。最近ではスマートフォンにも使われている技術です。

携帯型音楽再生端末ならば、雑踏(生活環境音)の中で音楽を聴く時に再生ソース以外の雑音(ノイズ)も同時に聞こえてしまいます。ノイズキャンセル機構は、聞こえてほしくない音を逆位相のデジタル信号として加えて除去して再生ソースのみにする技術です。

今回のデモの一つClear Voice Technologyは、内蔵するマイクで環境下で発する除去音をデジタル信号化させて+波形に、-波形を重ねることで消したい音を除去するものです。

デモ車の中では、想像以上のボリュームで音楽が再生されていました。その中にいても音量のボリュームを操作することなく先方の携帯電話には会話する音声だけがクリアに伝わっていました。

自動運転の中でBOSEの取り組みは、②、③、をこの技術でクリアしていくもののようです。ただし、ここにはまだハードルが残っていて、風切り音や近似値の別音声(選挙の街宣車等)を識別していくことで、Clear Voice Technologyの商品化が近いことを感じました。

BOSE 資料続いて〝Aware Signal Steering Technology〟。

自動車社会では、代替燃料に代わって次のテーマが自動運転に向き始めています。

代替燃料と同様に製造メーカーだけで進行できるものではありませんので、インフラ整備との協調も重要になります。と同様にサプライヤーからの提案も見過ごせない技術です。

そこでBOSEが提案する技術が‘Aware Signal Steering Technology’です。

自動運転が実現するときは、イコール安全を確保しているということでもあります。

それは電車やバスに乗車しているときのように、ドライバーの責務は今よりはるかに低減するでしょう。そうなれば、ドライバーは人間の持つ五感を少し休ませて移動することも可能になります。しかし法的措置がどうなるかは別ですが。

そしてBOSEからのもうひとつの提案が、音声認識技術(自社オーディオシステム)、カーナビゲーション、自動車が持つ各センサー信号を組み合わせて情報を音声で通知する ‘Aware Signal Steering Technology’です。

車が走行中に目的地に沿って車線変更をしたとします。〝左に車線変更します。〟とか〝左後方に後続車が接近中です〟と言った情報を音声で知らせようというものです。しかも、音の発信源をこの場合では、左側のスピーカーに集中させるのです。

ちょうど〝あっち向いてホイ〟のジャンケンゲームのように、人間は無意識の状況だと他人の動作に追従してしまうのと同じです。

…なるほど、これならば自動運転を解除して、ドライバーの意思で危険回避を行なえるということですね。

ボクは今でも前後の確認比率を(6:4)で後方を4割ぐらいで確認するようにしてます。直線路は苦になりませんが、コーナーや曲がり角では進行する方のドアミラーを活用しています。目線が進行方向に注力するので無駄なく確認できます。その理屈と似ていますね。

どうやら‘Aware Signal Steering Technology’は、①、④を盛り込んで実用化しようということのようです。

ただ、このシステムは自動車メーカーやカーナビメーカーとの連携が必須のようなので、その前に法律上の問題もあるかもしれないので、商品化するまではハードルも高そうです。

が、こうした提案は、自動運転にむけて安全面では欠かせない技術なので商品化にむけてブラッシュアップしてぜひ実現させて欲しいですね。