JARI堀技監による近未来の自動車勉強会

開催日:2008年9月10日
場 所:大手町サンケイプラザ

JARI(日本自動車研究所)といえば、私の場合は谷田部テストコースを一番に思い浮かべる。自動車雑誌業界で初めて仕事したのが都心~富士~谷田部を1泊で往復という企画だったからだろうが、それ以来かなり長い間、谷田部には行った。しかも深夜、早朝という時間帯がほとんどだった。初期の頃にはまだ計測器に無線システムがなく、同軸ケーブルを400m引っ張っていた。夏はまだしも冬になると筑波おろしが吹き込み、体の芯まで氷つきそうな寒さに閉口したものだ。何しろ温かいコーヒーを入れてもすぐに凍ってしまうほどの寒さだった。そんな昔話はともかく、JARIの堀 政彦技監による今回の講演は、

  • 日本自動車研究所の役割
  • 近未来の自動車のあり方
    (燃料電池、ハイブリット、電気自動車、バイオメタノールなど)
  • 各メーカーの開発の現状や将来性
  • 政府の考えなど

の各項目をジョークや本音を交えてお話ししていただいた。堀技監は元々ディーゼルエンジンの開発に力を注いでこられた方で、メーカー単位ではなかなか行えない各種の計測、実験を長い間経験されているから、ディーゼルエンジンには一家言をお持ちの様子。燃料電池、ハイブリット、電気自動車、バイオメタノールのそれぞれの一長一短を解説していただき、さらにメーカーの思惑や政府の見解についても詳しく教えてもらうことができた。

JARIの堀政彦技監
自動車の成り立ちから現在の状況、そして近未来の自動車社会など、多岐にわたって講義してくれたJARIの堀政彦技監。時間が足りなくなるほど内容は濃かった。

化石燃料があと何年かで枯渇する、といわれて久しいが、いつの日かは無くなる定めだ。それまでの間、電気なのか、水素なのか、燃料電池なのか、それともディーゼルなのか。その答えを探して世界各メーカーは日夜研究開発を続けている。自動車ジャーナリストはいったい何ができるのか、ある意味考えさせられた有意義で興味深い講義だった。