BASF自動車用塗料勉強会 その2

開催日:2009年11月26日
場 所:BASFジャパン東京本社 会議室

間下光行氏ザ・ケミカルカンパニー、BASF(ビー・エー・エス・エフ)。全世界でグループ売上高8兆円、従業員数10万人というドイツに本拠をおく世界最大の化学企業集団だ。筆者の年代だとこの名前、カセットテープぐらいしか思い至らないだろうが、化学製品から建設、農業、エネルギーまで、およそ”変化”するものは何でも手がけている。

今回の勉強会は、BASFコーティングスジャパンの主催で、「水系塗料を中心とした自動車用塗料と塗装」について行われた。講義概要を報告しておく。

自動車の塗装は、基本的にeコート/プライマー/ベースコート/クリアコートの4層から成っており、その厚さはわずか100ミクロン=0.1ミリ程度。各層にはそれぞれの役割があり、単純化は難しい。それゆえ塗装行程は大規模かつ複雑になりがちで、その行程から吐き出される二酸化炭素(台あたり170キロ)も問題になっている。

加えて、塗料に含まれる有機溶剤(VOC)による環境破壊の危険も指摘される。一台あたり必要な塗料はおよそ18キロ(灯油ポリタンク1本分)。うち4.5キロの溶剤が通常、排出されるという。全世界6千万台の生産として、なんと27万トン。ちなみにVOCの発生割合はベースコートが一番多い。

BASFはこれら有機溶剤と塗装行程の問題を解決すべく、水系塗料と塗装行程の複合化に取り組んでいる。(少々値は張るが)水系塗料を使用すればVOC排出を6割削減できるという。それ以上減らせないのは、主にクリアコートに残るため。上と同じ計算をすれば、VOC排出量は11.4万トンである。ただし、水系塗料導入により、塗装行程のエネルギー負荷が増える。そのため、効果的な行程複合化が要求される。

数ある塗装行程の中で、最も炭酸ガス排出量の多い工程は、当然ながら塗装メインブースだ。通常、4コート3ベークと呼ばれる行程を、BASFでは4コート2ベークという簡略化した行程を提案(たとえばイギリスのBMWミニ工場)している。ただし、このやり方では、ホワイトパールや高彩度対応ができないので、日本ではフラッシュオフ行程を余分に挟んだ方法を取っている。

講義後は、会員からの質問が多数、発せられた。クルマの色という、言ってみれば最大の関心事ゆえに、日常的な疑問から超専門的な質問まで、バラエティに富んだ質疑応答となり、予定時間をオーバーするほど内容の濃い勉強会となった。

■参加者(敬称略、五十音順)
有山勝利、石川真禧照、太田哲也、岡崎五朗、加瀬幸長、片岡英明、川上完、川端由美、工藤貴宏、日下部保雄、鈴木健一、鈴木直也、滝口博雄、西川淳、萩原秀輝、松下宏、山崎公義、吉田匠